憲法刻一刻

2007/10/18

「2大政党」下で憲法もみくちゃ

 アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)参加を唱える「小沢発言」が波紋を呼んでいる。小沢代表は記者会見で、民主党の基本政策やマニフェストにそった「国民への約束」なのだから、「嫌なら離党を」と言い切った。確かに「基本方針」(マグナカルタ)には「国連憲章41条および42条によるものも含めて積極的に参加する」と明記している。42条は武力行使を定めたものだから、理屈としてはISAF参加は民主党の方針なのである。

 さて、小沢発言は単に「テロ特措法阻止の戦術」で済ますわけに行かない。それは究極の解釈改憲によって明文改憲の環境を決定的に整えるからである。国連決議があれば戦争に参加しても「国権の発動」ではないというのもおかしい。「国連決議」の下に戦争する多国籍軍はそれぞれの「国権の発動」の集合である。小沢説の法理論上の杜撰さはマスコミ各紙も指摘する。

 しかし、小沢発言のポイントはその理論的整合性などにあるのではなく、「戦闘地域には自衛隊は派遣しない」という従来の日本のたてまえをぶち壊す突破口を開いたことにある。だから、今のところ石破防衛相を先頭に政府・自民党は「小沢こそ憲法違反だ」と声を荒げているが、腹の底では歓迎しているのだ。民主が「テロ特措法対案」で「ISAF参加」を盛り込めば、それを自民が飲み込むかもしれない。その際も、「民政分野」というもっともらしい限定が付されるだろうが、戦闘地域の真っ只中に政府の責任で人を派遣する以上、安全確保の名目で武装自衛隊員の派兵は正当化されるだろう。

 そういう想定がされるから、民主の「対案」つくりも手間取っているとおもわれる。

 一方自民党も実は一歩踏み込んだ。「給油活動」の正当化の理屈として中近東の石油確保の「国益」を、福田総理の答弁に盛り込んだのだ。「国益」のためなら自衛隊を世界のどこにでも派兵していいことになる。これについては国会討論での批判は聞かれない。  民主であれ自民であれ、全面対決しているようで実は両側から憲法9条をもみくちゃにしているといえないか。要注意なのはマスメディアの論調である。おしなべて民主に「対案」提示を求め、「テロとの戦い」のためにの「国際貢献のあり方」「憲法論議」を深め、一致させよとキャンペーンをはっている。その論調は当面「自衛隊恒久派遣法案」必要論に誘導されている。

 このままでは9条は実際は破壊される。あと国民投票が実施できるころには、葬式をあげるだけとならぬよう、民主党内の良識ある人々は頑張ってほしい。そのためにもまずは護憲を掲げる勢力は共同して存在感を示すことが不可欠であろう。

(9条ネット事務局・I.Y.)

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