憲法刻一刻

2008/1/9

新年早々、政府が海外派兵恒久法制定作業に踏み出す

 新年早々、ただならぬ年を思わせる動きがはじまった。

 8日に政府が「派兵恒久法」制定の準備に入ることを決めた。当面与党でプロジェクトを設置して法案化検討作業に入るが、町村官房長官はさっそく8日の参院委員会で民主党に協議を呼びかけた。直接の狙いは、テロ特措法が成立しても1年時限立法のため、今秋また苦労しないためだが、これが自衛隊海外派兵の従来のレベルから質的に飛躍させ既成事実化し、2010年以降の9条明文改憲の最大の梃子となるのはいうまでもない。

 最大の焦点は、「武器使用基準」と「停戦合意の成立」という従来政府も規制されていた大枠をどう打破するかにある。実は民主党がこの間小出しにしてきた案と、自民党が06年にまとめた「石破私案」は大差ない。むしろ民主案の方が派遣地域を拡大でき、かつ武力行使基準をヨリ緩和し、「国連決議」前提なら「海上阻止活動への参加」すら可能とするものである。なお「国連決議」の有無が対立点として残っているが、これは「政争の具」にすぎない。

 一方与党・公明党の方が恒久法制定には慎重だ。「超党派」である改憲勢力は、「連立再編」もちらつかせ公明党に譲歩を迫るだろう。政府が公明党や内閣法制局などの躊躇を振り切り、一歩踏み出せたのも民主党の呼水があったからといっても過言ではない。

 政府は遅くとも総選挙後の国会には法案を提出したいだろう。そうすると問題は年内には必至の解散総選挙でこの重大問題がどうあつかわれるかだ。小沢党首は「有権者に分かりにくい筋ものは選挙公約の重点にはせず、政治のプロにまかせてもらう。金目のものを争点にする」というスタンスだから、参院選で憲法見直しをこっそりと「マニフェスト」の隅に忍ばせたような対応が考えられる。せめて護憲を掲げる全政党・勢力が、海外派兵恒久法反対の一点で政策連合をくみ、選挙で協力しなければならない。「9条ネット」ならぬ「自衛隊派兵恒久法反対ネット」ができないか。

追記
 1月9日付け本欄で、触れた自衛隊海外派兵恒久法の国会提出は早まる危険性がでてきた。慎重と思われた公明党でも、9日に北側幹事長が「一致点は見出せる。見出せれば法案として提出も当然視野に入っている」と述べたという。10日の参院外交防衛委員会では福田首相が制定に強い意欲を示した。福田―小沢党首討論と再議決を論評した主要各紙の社説は、おしなべて「与党と民主がすりあわせせず、再議決した無策」と非難している。
 解散総選挙前に、恒久法議論で、与党・民主党摺りあわせ論が誘導され、法案提出ないし与党案と民主党案両案提出との事態となったらどうだろう。総選挙後は「政界再編」にせよ「大連立」にせよ、「有権者の信任」を大義名分に自衛隊を世界に解き放つ国会になりかねない。(1/11)

(9条ネット事務局・I.Y.)

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